テレワーク環境のディスプレイ(2)

EV3895 Multi-Input パソコン・インターネット
EV3895 Picture by Picture, from EIZO

前回に続き、テレワーク環境のディスプレイについての記事です。基本的には狭い机の上を効率的に使って、コロナ禍前の職場の環境(WUXGA: 1920 x 1200 x 2 display)に近づけることです。ただし、せっかく購入するので少しでも良い環境にしたいです。自費で購入するので、仕事利用だけではなく写真やビデオ編集も快適にできる環境にしたいとの思いもあります。

家族共用のPCは、ずいぶん前に東プレ テンキーレスキーボード購入の記事で写真紹介しているとおり、サンワサプライのPCデスクを利用し、下記の配置で利用しています。

家族共用PCデスク

机の横幅は75 cm で、机上の24インチのディスプレイのサイズ感からせいぜい 27インチ位のディスプレイがいいところと思っていました。IO DataLCD-MF241XBR はソフトキャリブレーションでカラーマネージメントしていましたが、どうも正しい状態なのかに自信が持てず、次は EIZO のハードキャリブレーションのついたカラーマネージメントディスプレイ(Color Edgeシリーズ)が欲しいと、ず~っと漠然と思っていました。少し前から多くの 4K ディスプレイが発売、価格もこなれてきており、そちらも魅力的で、選択肢が豊富になり選ぶ楽しみが増えています。ただし、4K のColor Edgeシリーズは27インチのCS2740-Xでも約30万円、32インチのCG319Xともなれば60万円で、さすが高くて手が出ません。また、子供達も大きくなってしまい、写真やビデオの撮影機会は大幅に減り、カラーマネージメントディスプレイの必要については懐疑的な状態になって来ています。sRGBがそれなりに信頼できる常態で表示できるディスプレイがあれば良いのではないかと思うようにもなりました。

ちなみに、昨年夏に用意したテレワーク用のデスクは同じくサンワサプライの幅100 cmの 100-DESK088 です。少なくてもキーボード スライドデスクを収納した状態では比較的コンパクトになるし、引き出した状態で利用すれば、キーボードとディスプレイの距離をある程度保てるため、良いPCデスクと思っています。夏以降はこれに、EIZOのEV2456(24インチ WXGA 価格: 6.4万)を購入し、ノートPCとのデュアルディスプレイ(前回記事)で仕事をしてきました。このディスプレイは同等品と比べると結構高いが、sRGBをそれなりに信頼できる常態で表示できるものと信じている。また、5年保証(6ヶ月のドット欠け保証)の信頼性、ソフトウェア(Screen Instyle)による各種制御ができるなど、十分に満足できるものです。Scren Instyleの使い勝手等については、別途レビューしたいと思います。なおEIZO製品は、株主であればダイレクトショップで 20% オフの優待価格で購入できる。数年前から、IO Data製のディスプレイが壊れた時に備え、 EIZO 株を保有し続けていいたが、夏の購入時にはEIZO株を手放しており、市場価格で購入している。今回のディスプレイ選びにはLCD-MF241XBRは春には14年になるので、これのリプレースについても考慮しました。

購入ディスプレイに求めるもの

コロナ禍前の職場の環境、コロナ禍後のノートPC利用のテレワーク環境ともに、2つのディスプレイを使ってきたため、2画面での利用を希望したい。テレコンではメインディスプレイで共有表示する資料を写しだし、サブディスプレイでテレコンの操作(共有や音声ミュート)を行ったり、議事メモをとったりしてきたので、同じことがやりたい。最近、持ち帰ったデスクトップPCをメインで利用しようとすると、現在はEV2456のシングルディスプレイとなってしまうのである。デスクトップPCでのデュアルディスプレイ環境を構築するために、色々考えた候補は以下である。

  1. 24インチ ディスプレイ x 2
  2. 27インチ ディスプレイ + サブディスプレイ
  3. 32インチ ディスプレイ + サブディスプレイ

1.は夏に購入した EV2456 相当のディスプレイを追加でもう一台追加購入するというものである。コロナ禍前の会社の環境とサイズ、解像度共に同じになる。現在のデスクサイズからすると横幅は少しオーバーサイズの気もする。1つを縦表示で利用すれば良い感じかもしれない。この場合、家族用の共用ディスプレイは後日追加購入が必要になる。

2. 3はせっかく購入するので、メインディスプレイを大型・高解像度化する案である。8月頃は32インチ 4Kディスプレイ(EV3285 価格: 16.3万円)を購入して1ディスプレイでの利用を漠然と考えていました(EV2456は家族共用PCへ移設)。27インチ 4K(EV2785 価格: 11.0万円)、または2.5K(EV2760 価格: 7.2万円)でも良いかもれない。大型、高解像度ディスプレイは価格も高いので、EIZOの株主優待を利用したかったので、検討・購入を先送りしていました。一方、購入候補を絞っていく過程で、いくら大型・高解像度化しても、作業のしやすさからサブディスプレイがあった方が良いと思うようになりました。サブディスプレイとして夏に購入した24インチのEV2456を縦置きすることも考えましたが、メインディスプレイを大型化するとスペース的にやっぱり難しそうな感じです。であれば、小さなサブディスプレイを購入すればよいのではないかとも考え、15-17インチのモバイルディスプレイ 例えばEVC-1701(価格: 2.9万)を縦置きでの組み合わせなら利用できるかも…などと考えています(縦置き利用するならVESAマウントのアームやスタンドも必要)。これがあれば、ノートPCと一緒に持ち歩き、実家などでも仕事ができるなぁ…など。もう一つのサブディスプレイ案は19インチくらいのHDMI端子付きのTVを使うことである。テレワークなので、ながら族としてTVがあっても良いかなぁとも思うのである。ただ、19 インチクラスだと、Full DH(1920 x 1080)表示ができるものはなく、1400 x 800 程度が標準的である。やはりPC作業中心に考えると購入を躊躇してしまう。

選択のためEIZOサイトで比較・検討としていると、大型・高解像度ディスプレイはPicture by Pictureという機能があり、例えば4Kディスプレイを左右2分割(1920 x 2160 x 2)し、別々のディスプレイとして異なる画像を表示することができる。仕事用のPCとして2つの出力端子を利用すれば、デュアルディスプレイとして機能する。これでも一応、テレコンでは使いやすい状態には近づくが、縦長サイズになるためちょっと特殊である。入力を切り替えることで、仕事用のPCと個人のPCの画面を左右に並べることもできそうであり、便利に使えそうだ。

EV3285 Picture by Picture

EV3285 Picture by Picture表示モード

そうこうしているうちに、EIZOからウルトラワイド曲面ディスプレイ EV3895(3840 x 1600 価格: 20.9万円)が発売された。こういった類いのディスプレイがあることは知っていたけど、主にゲームをやる人向けのものと思っていたため、当初は購入候補に入っていませんでした。動画編集などにも利用できる4Kモニターに頭がいっていたこともあります。しかし、このディスプレイの特徴などをよくよく見てみると、実は自分の理想に近いのではないかと思うようになってきました。急きょ現れた第4の候補のポイントは以下である。

  1. Picture by Pictureで2560 x 1600 (16:10) と1280 x 1600(8:10)のデュアルディスプレイ相当利用
  2. 画素密度が 111 ppi でちょうど良さそう。(4K 140 ppi では文字が小さすぎる?)
  3. ソフトによる入力切替に加え、3台のPCとのUpstream接続のKVM機能
  4. 横 893.9 x 縦 411-603.7(表示部は398.2) mm で現在の机に対しほぼジャストサイズ
  5. sRGBカラーモードでの表示が可能

価格は20.9万円であるが、例えば4Kディスプレイとモバイルディスプレイを購入したら結局同じくらいの出費になるし(EIZO前提でなければもっと安く済むけど…。なんか感覚ずれているかなぁ)、Picture by Picture でのデュアルモニターとしての利用であれば、境目のない理想的なデュアルモニター環境になるなぁ…とおもった次第である。また、次から次にディスプレイを購入すると家族から不満が噴出しそうなので、追加購入1台で済ませることができるのも良いかもしれない。EV3895は流石に巨大なので、どっちもどっちかもしれない。自分のお金で購入するけど、価格は言えないなぁ…。こいつを購入したら、現在利用しているEV2456はLCD-MF241XBRの代替として家族共用PCへ接続するのが良さそうだ。

一方で懸念点もなくはなく、以下が気になっていました。特に a. は最大の懸念であり、EIZOの東京ショールーム(大森)へ現物を見に行こう思いたったけど、2021年1月の2回目の緊急事態宣言の発出を受けて2/19日現在休業中とのことである。そこで、AKIB PC Hotline のこの記事から、展示状況は分からなかったが、Tsukumo本店IIに出向いてみたところ、EV3895、EV3285の展示があり、それぞれ確認することができた。デュアルディスプレイでは、別々のディスプレイを自由な角度で配置が良いのだろうけど、EV3895そうはいかない。現物を確認して、フラットよりは見やすいかもしれないと思ったのと同時になれることができるかなぁ…と言うのが正直な感想である。

  1. 曲面ディスプレイで良いのか? 曲率はどの程度?
  2. Picture by Picture で上手く利用できるか? 電源 Off/On のたびにシングル表示に戻らないか?
  3. KVM機能は思った動作になるのか?

EV3895ディスプレイの妄想

このディスプレイをどう使うか、妄想してみよう。その前に、EIZO EV3895のスペックをもう一度整理する。サイズ感は、画面サイズの幅から16:9の 4K フルサイズ(3840 x 2160)テレビの上 1/4 程度を切り落としたサイズとイメージした。机上への設置は、EIZOの商品ページからARによる試し置きもできるが、既存のディスプレイが既に設置してあるため、なかなかイメージしにくい。寸法から、メジャーを使ってイメージするのがよい。下記は、EIZO社のWebページから抜粋したスペックである。

EIZO EV3895 Spec. 抜粋 (from EIZO)

項目 スペック
画素数 3840 x 1600 (アスペクト比24:10)
表示領域 (横 x 縦) 879.7 x 366.5 mm  (37.5インチ)
入力端子 USB Type-C (DisplayPort Alt Mode, HDCP 1.3),
DisplayPort (HDCP 1.3),
HDMI (HDCP 2.2/1.4) x 2
USB アップストリーム USB 3.1 Gen 1: Type-B x 2,
USB 3.1 Gen 1: Type-C (DisplayPort Alt Mode,
Power Delivery最大85 W給電)
USB HUB (ダウンストリーム) USB 3.1 Gen 1: Type-A x 4
標準消費電力 28 W(最大 194W, USB給電85Wを含む)

自分は仕事での主な利用イメージを次のとおりとした。メインPC(仕事用)とはケーブル1本での接続ではなく、2本の映像出力を接続し、2画面の Picture by Picture での利用をイメージした。表示は、単純に2等分の分割ではなく、横に 左 2 : 右 1 に分割する。左画面は2560 x 1600 (アスペクト 16:10) の標準サイズ(今の標準は 16:9かもしれないが…)で横幅は 27 inch ディスプレイと同等、縦は一般的な16:9ではなく16:10で10%程度縦方向の画素数が多い。テレコンではこちらの画面を共有表示するので参加者にも特に違和感なく見てもらえることができると思う。右画面は 1280 x 1600 (アスペクト 8:10) の縦長サイズになるが、テレコン時には共有せずに、コントローラやメモ、関連資料の検索・表示などに利用する。これで、広大なディスプレイ表示となるが、使い勝手としてはデュアルディスプレイと同じ操作感になると期待する。例えば、ウインドウの最大化や横並び(Win + Arrow)では2:1のそれぞれの画面で最大化や横並びになるので使い勝手が良さそうである。なお自身はディスプレイの正面に座るのではなく、左側にシフトして座り、左2の中央が正面になるように座る予定である。デュアルディスプレイと同じ動作・操作感になるが、実際にはフレームがなく、きっと快適に違いない。残るは、このPicture by Pictureの設定やその入力設定が、電源オフ/オン(省電力化によるオフを含む)で2画面設定などが維持されないとちょっと使えないことになるが、取説を見たところでは維持できそうである。

EV3895 Picture by Picture

EV3895 Picture by Picture 表示モード

あとは、仕事中とはいえ時には個人的な調べ物をしたいときもあったりするので、一時的に入力を切り替えて個人PC画面での作業をするのにも便利そうである(仕事用PCはVPNで会社に接続されているので、宅内機器にもアクセスはできなくなる)。例えば右側のサブ画面を切り替えれば、仕事用PCへのチャット連絡などにも気付きやすく、快適になるであろう。さらに言うと、3画面のPicture by Pictureを利用すれば、右上の1/6サイズ画面(サイズはノートPC13インチ相当と想像)で TV 表示などもでき、ながら仕事もできるのではないかと期待している。

しかもKVM機能もあり、1セットのキーボードマウスで3つのPCを切り替えて操作できる機能までついてるとのことで、使い勝手についても期待したい。現在は持ち合わせていないが、USB Type-C 接続ではドッキングステーション機能があり、PCへの給電とディスプレイ信号の入力、Gb Ethernet、4 Ports USB Hub にも対応しているとのことで、将来にわたって余裕をもって使えそうだ。

接続するPC側の出力端子と表示モードへの対応状況も確認する必要がある。自宅のPCは、まだまだDVI-D/HDMI出力のものがほとんどなので、DVI入力がない点はやや不安が残る。DVIは4K相当の出力には対応しないため USB Type-C, Display Port, HDMI などへのシフトは致し方ない。仕事用のデスクトップPCはDisplay Port x 1 と HDMI x1 出力があり想定した利用ができそうである。個人PC(家族用ではない Shuttle XH61V)はDVI/HDMI 各1があり、HDMI接続で利用できそうだ。ただ、第二世代のCore i3のため、ディスプレイ解像度を十分に利用できない可能性が高い。大学生の長男が M1 Mac Book Air を購入したので、Windows 10 ノートPC WS1/Wが戻ってきたので、サブPCとして利用するのも良いかもしれない。XH61Vはソフトがほとんど入っていないため、WS1/Wを使うようにした方が幸せになれるのかもしれない。なお、家族で共用利用している母艦のPCは更新時に4Kディスプレイへの更新を夢見ていたのでDVI/Display Portがある。母艦PCでは実4Kでのプレビューはできないけど、快適な作業環境になりそうである。

心は、EV3895にほぼ決まった。EIZO ダイレクトで株主優待クーポンを利用すると、20.9万円が16.7万円になる。もう少し利用シミュレーションやレビュー記事、別候補がないか確認したい。